ルーマニアのティミショアラという都市に来ています。
ここにお友達の女性ブリーダーがいて、この人といろんな話をすることと、この人の犬舎の様子を見たいと思って、今回、ルーマニアに来ました。それと、クルジュ・ナポカという都市に、そのブリーダーも私も知っていて、両方とも犬をあずけてヨーロッパ各地のドッグショーでハンドリングを依頼している、ルーマニアで有名な女性ハンドラー2人がいますが、その人たちに会って、今後のことを話しあうことも、大きな今回のルーマニアへの旅の目的でした。
このティミショアラという都市はルーマニア第三の人口の都市で、ここから300キロくらい離れた場所にクルジュ・ナポカがありますが、ここはルーマニア第二の人口の都市で、ここに、そのハンドラー2人が同じ家で一緒に暮らしています。
12月19日(2017年)、そのハンドラーたちに会うために、クルジュナポカに行く予定だったんですが、ティミショアラのブリーダーの旦那さんのルーク(仮名)が車で送ってくれると言うんですが、私はクルジュナポカに3泊します。ルークは犬の仕事なんてしていませんから、その3泊4日の間何をしているのかわかりませんが、たぶんやることがなくて、とてもかわいそうですよね。私のためだけにクルジュナポカに行くわけですから。
ですから、「ルークはタクシードライバーじゃないよ。俺は一人で行くから」と言って、最初は飛行機で行こうと思って、エアラインを調べました。クルジュナポカのハンドラー2人は、28歳と20歳の女性なんですが、28歳の女性のほうがお姉さんですし、2人が住んでいる家は彼女の持ち物ですので、彼女がボスなんです。彼女は・・・・面倒なので、名前をジョディ(仮名)と呼びますが、ジョディは、飛行機は往復30ユーロ(4500円)くらいだから。と言ってましたので、私は飛行機でクルジュナポカに行こうと思っていました。そうしたら、クリスマスシーズンで極端に高額になっていて、往復で7万円くらいでした。7万円なんて、安いチケットだったら、日本とヨーロッパを往復できます。
ですからそれは高すぎると思って、次は電車で行こうと考えました。しかし電車で行くと7時間かかると言うんですね。たった300キロの距離なのに。
ティミショアラからクルジュナポカまでは山道が続いていて、まっすぐの道ではないですし、高低差も激しくて、相当時間がかかるということでした。
各駅停車のような電車で、7時間かかって、指定席もグリーン車もなくて、クリスマスシーズンでごった返している電車に大きな荷物を持って乗りたくないと思いました。
ですから、レンタカーを借りて、自分で車を運転してクルジュナポカまで行こうと思いました。
日本を出発する前に、一応、レンタカーを調べていたんですが、14日間で8万円くらいでした。これにフルプロテクション(車両保険)を付けて、GPS(カーナビ)を付けると、13万円くらいです。しかし今回のルーマニアへの旅は、ティミショアラ空港まで、この女性ブリーダーと彼女の夫のルークが、彼らの車で迎えに来てくれる予定でしたから、レンタカーの金額だけは調べましたが、そのときは、レンタカーの予約はしませんでした。
しかし、今、クルジュナポカに一人で行かなければなりません。
ティミショアラのホテルで、インターネットの同じサイトを利用して、レンタカーを調べました。
12月28日に日本に帰るときに、ティミショアラ空港から出発して帰国しますから、ティミショアラ空港のレンタカー会社で車を借りることにしました。自分で車を運転して、空港まで行って、そのまま日本に帰国することができますからね。
Rentalcars.comをご存知ですか?
レンタルカーズドットコムです。
世界中のどこの国のレンタカーも、最安値から高額のものまですぐにインターネットで検索できます。
だいたい、いつも最安値のものしかレンタルしませんが、ティミショアラ空港で12月19日に車を借りて、日本に帰国する12月28日まで10日間借りたらいくらになるのか検索しましたら・・・
なんと!
97ユーロでした!
15000円くらいですよ!
10日間で!
日本で調べたときは14日間で8万円だったのが、10日間で15000円!!
これがいいですよね!
15000円で、10日間、自分の自由に行動できるんですから!
絶対借ります。今すぐ借ります。
それですぐに予約して、次の日にティミショアラ空港までルークに車で送ってもらうことになりました。
そして、そのブリーダーの・・・・名前をクインにします。クインの家にいてお茶を飲んでいたとき、ルークが私に向かって厳しい目つきで言いました。
「俺は、今まで何度も何度も言いましたが、Joelがクルジュナポカに車で行くのは反対です。クルジュナポカまでは山道で、車で行くと、どんなに車の運転が上手いドライバーでも5時間はかかります。初めて車で行く人は10時間かかる場合もあります。そして、ルーマニアのドライバーの運転はとても危険で、道路は凸凹だし、雪は積もってるし、道路は凍ってるし、車の数も多いし、日本は右ハンドルで左側通行ですよね。そして普段オートマチックの車にしか乗ってないですよね。安いレンタカーは、マニュアルギアですし、左ハンドルで右側通行で・・・・とにかく、日本人が初めて車で行くなんて自殺行為です!! スーパーマンにしかできない!! 間違いなく事故か何か大変なことになって俺に電話してくることになります!! 間違いない!! 絶対そうなります!! 絶対反対です!! キャンセルするべきです!! 電車で行くほうがいいです!! それか俺が車で送ります!!」
私がレンタカーでクルジュナポカに行くと言ったときから、ずーっとルークは反対していました。
信じられないくらい、とても危険だと言うんです。
しかしまあ、私は、子供のころから、自分にできないことはこの世にないと思って生きて来た人間ですから、おそらく、別に大したことはないと思っていました。
それで、当日、心配しすぎて、もう、完全に呆れてしまって、「あとは俺は知らん」みたいな状態のルークをあとに、私は、ティミショアラ空港からレンタカーで出発しました。
そして、ルークの心配はすぐに忘れて、自分の自由に、行きたいときに行きたい場所に行けるようになったのが嬉しくて、「やった~!! 自由だ~!!」と、心の中で叫びながら走り始めました。
4時間半でクルジュナポカに到着しました。
確かに、めちゃくちゃな運転をする人間はいましたが、「まあ普通かな・・」という感じでした。
ただ、片側一車線の山道で、対向車もどんどん来て、しかも、道幅と同じくらいの車幅のトラックが、全体の車の10台に1台くらいの数なんですよ。ものすごく多いんですね。超巨大トラックだらけなんですよ。おそらく、この道路一つしかないからです。ティミショアラとクルジュナポカをつなぐ道路が。
ですから、自分が走っている車線にも、当然たくさんの巨大トラックが走ってるので、遅いですよね。そういう巨大トラックは。ぐにゃぐにゃの山道なんですから。
そのぐにゃぐにゃの山道で、遅い車を追い越していくんですが、1台や2台追い越すんじゃないですよ。10台くらい追い越していくんです。普通車と巨大トラックが混じっている10台を。
といっても、私にとっては、別に大したことではありませんが。
ただ!
10台の車を山道で追い越していくときは、当然のことながら、直線道路で、対向車が来ていないかどうか確認できるところでしかやりません。
それを、木が生い茂って、前方が全く見えない、ぐにゃぐにゃのカーブのところで、じゃんじゃんやる車が無数にいるんです!
これは、運転が上手いとか下手とか、無謀運転とか安全運転とか、そのような次元のことではなく、自殺志願者、あるいは、チキンレースなんですよね。ただ度胸試しを一人でやっているようなものです。
「こいつらバカだな。絶対死ぬ」と思いながら、私も、じゃんじゃん遅い車を抜いて行って、4時間半で到着しました。
実際に、4日後、クルジュナポカからティミショアラに帰るとき、やはり山道で大事故が起きて、普通車と巨大トラックが正面衝突して、普通車は、運転席のほうの半分が消えてなくなっていました。車の半分が水あめみたいに溶けたような状態でした。
自動車教習所で、「事故を起こしたらこうなりますよ」の悪い例に出てくる車のようになっていました。
そのほか、2台の普通車が巻き込まれて、道路の外に飛び出していました。
大事故ですね。
それで、両方の車線をふさいでいましたから、車が完全にストップして、1時間半、ずーっとその山道にいました。
その動画がありますからご覧になってください。
https://youtu.be/l0l050Whbdw
私は、若い頃から、別にカーレースが好きなわけではありませんが、どこに行くにも、目的地に早く到着したくて、ものすごく荒っぽい運転をしていました。自分自身では荒っぽい運転をしたいとは思っていませんでしたが、トロい車が多すぎるので、必然的にそうなっていただけで、別に、車に乗ってスピードを出したいとか、ほかの車を追い越したいとか、そういう気持ちは全くありませんでした。ただどこに向かうときでも、できるだけ早く到着したい。というただそれだけです。ですから本当は、「どこでもドア」があれば車なんて乗りません。目的地に早く到着する手段として車を使っているだけです。
それで、4時間半でクルジュナポカに到着した私は、ジョディから、「すご~い。運転が上手いのね。普通は運転が上手い人でも5時間はかかるのよ」と言われ、4日後にティミショアラに帰ったあと、ルークからは、普通ではない人間を見るような目で見られるようになりました(笑)。
しかし実際は、クルジュナポカに行く途中、山と町をいくつか越えていくんですが、どこかの町で30分くらい大渋滞に巻き込まれましたので、あれがなかったら4時間で到着していました。
クルジュナポカの街もティミショアラと同じで、完全にクリスマス一色で、イルミネーションがとてもキレイでした。
そしてジョディの家で、毎日、ルーマニアの伝統的なクリスマスの食事を食べさせてもらって、ジョディの実家にも行って、ジョディのお母さんにクリスマス料理を作ってもらって、とても楽しい時間を過ごしました。
ジョディの実家は、大きな家具の会社を経営していたんですが、その会社を全部売って、そのお金で、今は何も仕事をしないで暮らしていました。
ジョディも、ハンドラーの仕事以外何もしていませんが、100ヘクタールの土地を持っていて、そこにたくさんの動物を飼って、夏だけそこで過ごすと言っていました。そして、マンションを2棟所有していて、毎月、家賃収入があって、クルジュナポカのダウンタウンに家があって、そこに私は行ってましたが、郊外にも、もう一つ自分の家を持っていて・・・・だから金持ちなんですね。なんかうらやましい話しですね。夏の避暑地の家以外に2つ家があって、さらにマンションを2つ所有してるんですよ。
俺にも一個くれ~の話しですよね(笑)。
ジョディの家で、今後のドッグショーのことや、ヨーロッパから日本への犬の輸入を手伝ってくれる話など、様々な話しをして、クルジュナポカで4日間過ごしました。
しかしジョディの家に到着した初日
午後7時くらいに到着しましたが
ジョディの家はダウンタウンにありますから、道路がせまいわけですよ。
その道路の両側にたくさんの車が駐車してありました。
その中の、ジョディの家の目の前の、ジョディの家の壁の前に、私は車を止めました。
「ここに止めていいわよ」とジョディが言ったからです。
しかし、夜、11時ごろ、自分のホテルに帰ろうとしたら・・
フロントガラスのワイパーに、「ここに車を止めるな」と、ルーマニア語で書かれた紙が挟んであって、ボンネットと天井の上に同じことが指で書かれていました。その部分だけホコリが消えますから、書いてある文字が読めますよね。また、車の後部座席のドアと後ろのバンパーに、硬い金属のようなもので傷がつけられていました。
車をレンタルするとき、フルプロテクション(車両保険)を付けるかどうか、相当迷ったんですが、付けておいてよかった~と思いました。
今までいろんな国でレンタカーを借りて、フルプロテクションを付けてたんですが、何も問題がなかったんですね。しかし、フルプロテクションは、かなりの高額なんです。1日1000円~3000円くらいなんですよ。国や時期によって違いますが。
今回も、フルプロテクションは70ユーロ(10500円)でした。
車が97ユーロでフルプロテクションが70ユーロ・・・
あんまり変わりませんよね。
車2台分じゃん。
いつもそう思うんですよね。
ですから、今回はもう、フルプロテクションは付けないでおこうかな・・・と、そうとう悩んだんですが、やっぱり付けといてよかった~と思いました。
そして、「ジョディ、誰か俺の車に傷つけやがったよぉ」と言いましたら
「これがルーマニアよ」と言いました・・
自分がここに止めろといったくせに・・・俺は今日初めて日本からこの街に来て、この街のことは何も知らないんだぜ・・・車を止める前にお前が気づかなければならないんじゃないのか・・・と思いましたが、何も言いませんでした・・
しかし私は、もう、完全に右側通行の車の運転をマスターしました。
これだけ危険だと言われているルーマニアの右側通行の山道やダウンタウンを何も問題ないどころか、その国の人間より早く移動できるくらい運転できるんですから。もう完璧です。
先月ドイツに行くとき、最初は、「右側を車で走るなんてできるんだろうか・・」と、相当心配だったんですが、1週間で慣れました。
1週間で、何も問題なくなりました。
今、ルーマニアの街を縦横無尽に走り回っています。
いや、まだ縦横無尽とまではいかないですね。
別の国というのは、左側通行の国でさえ、様々な日本と違う交通ルールがあって、道路の分岐や、交差点の仕組みや、信号や標識のルールが違うんですね、微妙に。ですから、まだ、日本で運転するのとまったく同じというわけにはいきませんが、ほぼ何も問題ないところまでは来ています。
日本国内でも、別の土地に行ったら、進行方向を間違えそうになったり、運転中、様々な危険に遭遇しますからね。
それを別の国で、しかも右側通行の国でやってるんですから、日本の自分の家の近くを運転するようにはいきません。
しかしもう、どこの国でも運転できる自信があります。何も問題ないです。
クルジュナポカの夜のクリスマスイルミネーションをご覧になってください。
https://youtu.be/og240xPDKcA